許せる?許せない?

今日は雪が凄いですね~
皆さん、どうぞ、転んで怪我をされたりしないよう、お気をつけ下さい

前回のレポートにあった今年のO師匠の新作、楽しみですね!
(詳しくはコチラをご覧下さい♪ http://aplomb.at.webry.info/201202/article_12.html


ところで先日、ジゼルのあらすじ書き用の資料を探している最中、あるサイトでこんな文章を見つけました。


Giselle forgives “total scumbag” Albrecht but loyal Hilarion dies awful death.
「ジゼルは『超最低男』アルブレヒトを許すが、忠実なヒラリオンは酷い死を迎える」


これは、ジゼル・ファン達による、『ジゼル』と言う作品の好きなところ・嫌いなところに関する投票に寄せられた一つの意見です。(もちろん、「嫌いなところ」に対する意見です(笑)。)

「分かる、分かる!」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
私も、ジゼルが自分の大切な友人だったとしたら、アルブレヒトに対して怒りを感じるでしょうし、「ヒラリオンにしておけば良かったのに!」って思うかもしれません。

でも、もし当事者だったら・・・?
それはやはり当人同士にしか分からないことがたくさんあるのだろうし、一概には言えないのかも・・・と思ったりもします。


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1幕の母娘(ベルタとジゼル)のシーンでも明らかですが、ベルタは身体の弱いジゼルを常に心配しており、やや過剰とも言えるほど彼女を守ろうとしています。

危険な場所には行かせない、危ないと思われることはさせない・・・そんな風に常に先回りして娘が無事(安全)に過ごせるように取り計らっていたのではないかと思うのです。
それは何も物理的なものに限らず、世の中に存在する様々な「ベルタが考える娘にとって負の要素」はジゼルの前から排除されていたのではないか、と。


1幕の冒頭でヒラリオンがジゼルの家に肉を届けたり、ベルタの手伝いをしている様子が描かれる場合がありますが、ここからも上記のことが伺えます。
ヒラリオンがベルタに尽くしているのは、想いを寄せるジゼルの母親だからと言うことももちろんあると思いますが、ジゼルと結婚するためには、ベルタの信頼を勝ち得ることが絶対不可欠であったのではないかと思うのです。

そんな風にして、「危なくないように」、「傷つかないように」、大切に守られながら育てられたジゼルは、持って生まれた天性の純粋さもあり、本当に真っ白な状態だったのでしょう。
彼女は「相手を騙す」とか「裏切る」と言った行為や感情があることすら知らなかったのではないかと思うのです。


だからこそ、アルブレヒトの隠していた事実が明らかになった時、受け止められなくて壊れてしまった。
彼女にとって初めて知った恋は「完璧」で、愛に溢れる人生は「美しく幸せ」だった。そこに突然ヒビが入ってしまったことで、今まで自分が信じてきたもの全てがまやかしに思えて精神的に混乱を来たしてしまったのだろう、と。
周りにいる昔からの友達も、(アルブレヒトに出会う前の)幸せで平凡な日常も、何もかもが信じられなくなって疑心暗鬼に陥ってしまったのだとしたら、1幕でのあの狂乱シーンも十分に理解出来ると思うのです。

その混乱や悲しみ、絶望感の中、ジゼルは命を落とした。
だから天国には行けずに、ウィリーになってしまったのではないか、と。
彼女が現世を彷徨い続ける存在になったのは、アルブレヒトを憎んだり恨んだりしていたからではなく、そう言った感情を抱いたまま亡くなったからだ、と。

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                   ジュリー・ケント(ジゼル)

ジゼルがどの段階でアルブレヒトを赦したのか、と言うのは人によって様々な意見があると思うのですが、個人的には「最初から赦していた」のではないかと言う風に考えています。

ウィリーの伝説があることを知った上で、ちゃんと自分の墓まで会いにきてくれた、それだけでジゼルにとっては十分だったのではないかと思うのです。
むしろ、自分(ジゼル)の死に対して酷い自責の念と後悔に苛まれ苦しんでいる彼の姿を見て、彼女の胸は痛んだのではないでしょうか。だからこそ彼の前に姿を現したのではないかと。


そしてミルタや先輩ウィリー達から彼を守ろうと必死になっているうちに、ジゼルははっきりと認識したのだと思うのです。
死ぬ直前に自分の中で揺らぎかけ、疑いかけた「愛」と言うものが確かに存在していることを。
不幸な結末に終ったとは言え、アルブレヒトが自分を想っていてくれたことに嘘はなかったと言うことを。


朝を告げる鐘が鳴って、アルブレヒトの命が救われたと分かった時、ジゼルはとても満たされた想いでいたのではないかと思います。
自分のことを必死で引き留めようとする彼に想いを残しながらも、彼女は今度こそ永遠の眠りにつくことが出来たような気がするのです。

翌晩、再びウィリーとして姿を現し、他の仲間達と一緒に森に迷い込んだ男性を殺すジゼル(前夜のことなどまるでなかったかのように・・・!)なんて想像出来ませんし、そもそも、「殺すべき獲物」である男性を助けてしまった時点で、ジゼルはウィリー失格なのでしょう。

だから、アルブレヒトがどうしてもまたジゼルに会いたくなって、再び危険を承知で(しかも、今度はどんな目に遭うのか重々分かった上で!)真夜中に彼女の墓を訪れたとしても、もう二度とジゼルは出てきてはくれないし、会うことも叶わないのだろうと思います。

それこそが、アルブレヒトが背負わされた一番の罰なのだと私は思います。

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  マーゴット・フォンティーン(ジゼル)&ルドルフ・ヌレエフ(アルブレヒト)


アルブレヒトを追い込み、命を奪おうとするミルタとウィリー達の行為は、ある意味、傷付けられた張本人であるジゼルが行うべき復讐の代理でもあり、アルブレヒトの軽率な行為が招いた悲劇に対する世間の怒りのような意味合いもある気がします。


それなのに、ジゼルは率先して彼を殺そうとするどころか、女王ミルタに盾突いてまで彼を守り通そうとする。そんな姿を目の当たりにし、アルブレヒトはようやく自分達の間にあるものが本物の愛であることに気付いたのだと思います。(遅い・・・


それがどれ程大切なものだったのかをやっと理解することが出来たのに、もう二度と取り戻すことは出来ない。二度と会うことも出来ない。その喪失感と後悔を抱えたままずっと生きていかなければならないことを思えば、ジゼルだけが悲劇的だったとは言えない気がします。



それにしても、こう言う投票って面白いなと思います。
「白鳥の湖」で言うならば、「いくらオデットそっくりに変身しているとは言え、別人であるオディールとオデットを間違えるなんて!」と言う意見があったりして・・・(私はこれに一票を投じます!)。

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fluffy

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この記事へのコメント

猫ココ
2018年11月27日 12:28
ありがとうございます。私の中でずっとモヤモヤしていた気持ちを完璧に代弁してくれて感謝です。真実の愛を自覚した途端、その唯一無二の存在であるジゼルを永遠に喪ってしまったアルブレヒトは、この先何十年もその十字架を背負って生きていかなければいけないんですよね。公爵という立場からも、用意されている政略結婚も受け入れる義務があるでしょうし。
愛を崇高に昇華して天に昇っていったジゼルよりも、悲劇的なのは実はアルブレヒトなのかもしれませんね。

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