二羽の鳩

今週ロンドンで英国ロイヤル•バレエ団の二羽の鳩を見る!という方がアプロンにいらっしゃって、二羽の鳩談義に花が咲きました。
「二羽の鳩」は日本ではあまり上演されることがないようで、私は2002年に小林紀子バレエシアターで上演された際に1度見たことがあるのですがストーリーなどにあまり詳しくないので、この機会に調べてみました。

二羽の鳩の初演は1886年パリオペラ座で、ジャン・ド・ラ・フォンテーヌの寓話を元にしたストーリーにアンドレ・メサジェの曲、ルイ・メラントの振付によるものでした。メラント版では、舞台はギリシャ。二人の若い婚約者、グルーリGourouliとペピーノPepinoが危機を乗り越えてハッピーエンドを迎える物語。
1幕ではふさぎ込んでいるペピーノを心配するグルーリ、ペピーノはグルーリが止めるのを振り切って、偶然通りかかったジプシーと一緒にグルーリの元を去ってしまう。2幕ではジプシーの群れと一緒に旅に出たペピーノと彼を追ってジプシーに姿を変えたグルーリも交えて、ジプシーの祝祭が始まりディベルティスマンが繰り広げられ、その直後、ジプシー達の誘いに乗って賭けトランプに手を出したペピーノは一文無しになって、雷鳴の轟く夜に放逐される。3幕で、グルーリの元に戻ったペピーノは許しを乞い、二人は本当の愛を見つける、というストーリーです。

余談ですが、オペラ座ではバレエのリハーサルはそれまでバイオリンの伴奏で行われていましたが、この二羽の鳩のリハーサルからピアノの伴奏によるものに変ったそうです。
現在、二羽の鳩はパリオペラ座バレエ学校のレパートリーになっているそうです。今年いっぱいで引退予定のシルヴィ・ギエムがバレエ学校の生徒として来日公演に参加した際に二羽の鳩のグルーリ役を踊っているようです。「エトワールへの道」というパリ・オペラ座バレエ学校のドキュメンタリーに出てくる学校公演でも二羽の鳩の一部が見られます。

英国ロイヤル•バレエ団で上演されるアシュトン版はこのメラント版をベースにしていますが、舞台は19世紀のパリに設定され、より寓意的なストーリーになっているようです。パリに住む若い画家が恋人を描こうとしていますが些細なことで仲違いをしてしまいます。

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彼は魅力的なジプシー達と行動を共にし、ジプシーの女性と引き換えに恋人を失ってしまいます。

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自分の過ちに気付いた彼は家に戻って二人は漸く本当の愛を見つける・・・

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(写真は全て英国ロイヤルオペラハウスのHPより)

というストーリーです。グルーリとペピーノもYoung girl と Young man という役名に変っています。
アシュトン版の初演は1961年のバレンタインデーの日だったそうです。二羽の生きた鳩も登場します。
1961年初演当時の写真です(ロイヤルオペラハウスのHPからお借りしました。)

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今回の「二羽の鳩」はロイヤルバレエ団でも約30年ぶりの上演のようです。1986年(資料によっては1985年となっていますが)の上演を最後にずっと上演されなかった期間、再上演の希望が最も多く寄せられていた作品の一つとロイヤルバレエ団のディレクターであるケビン・オヘア氏が語っています。

なぜタイトルが二羽の鳩なのか、バレエの二羽の鳩を調べてもわからなかったので、ラ・フォンテーヌの寓話自体を調べてみたところ、フランス文学者の鹿島茂氏の記事にあらすじが書いてありました。


あるところに、愛し合う二羽のハトがいた。ところが 、そのうちの一羽(おそらく雄のハト)が、家にじっとしているのがいやになって、遠い国に旅立つことにした。すると、もう一羽のハトが言った。
 「どうして、あなたは私を置いて一人旅立ったりするの? 別れ別れになるのが恋人たちにとって最大の不幸じゃない? あら、そうは思っていないの? なんて冷たい人。どうせなら、もっといい季節になってから旅立つことになすったら? カラスやタカに襲われることもあるでしょうし、雨風にさらされるかもしれない。それでもあなたは旅立つの?」
 軽率な旅人はこのことばを聞いて、急に決心がグラついたが、それでも広い世界を見てみたいという強い気持ちと持ち前の落ち着きのなさが勝ちをおさめた。
 「お願いだ。そんなに悲しまないでおくれ。せいぜ い三日もあれば、ぼくの好奇心は満たされるだろう。そうしたら、ぼくはすぐに帰ってくる。旅先で経験した出来事をきみに詳しく話してやろう。ほら、よく言うじゃゅないか。世間を知らない者には話すことがないと。ぼくの話を聞いたなら、きっときみも旅したような気持ちになるだろうよ」
 こうして、二人は涙をこぼしながら別れ、旅人は遠くの空へと飛び立っていった。ところが、たちまち空がかき曇り、激しい嵐が襲ってきたので、旅するハトは雨宿りの場所を探さなくてはならなくなった。雨があがると、麦がたくさんこぼれている野原にハトが一羽いるのが見えた。うれしくなって飛んでいくと、麦の下には網が張ってあり、ハトは囚われの身となってしまう。それでも必死の思いでもがくうち、なんとか網を脱することができた。と、思ったのもつかの間、空から残忍な爪をもったハゲタカが舞い降りてきた。万事休すと感じたとき、雲間から大きなワシが降りてきてハゲタカに飛びかかった。二羽が争っているあいだにハトは辛くも窮地を脱したが、冒険はまだ終わらなかった。いたずら小僧がパチンコで放った小石が翼を痛撃したからだ。それでもハトはなんとか家にたどりつくことができ、恋人と再会を果たした。


記事はこちらです。
http://www.seiryupub.co.jp/warujie/2015/08/17.html

ロイヤルバレエ団のサイトよりリハーサル風景の動画です



最後のシーンがとても素敵

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