マリインスキーバレエの新しいパキータ 

マリインスキーバレエ団の来日公演「マリインスキースペシャルガラ」で上演された新しいパキータ

衣裳
音楽
舞台美術
振付
構成
何もかもが新しくなっていました

新しいパキータを振りつけたユーリー・スメカノフは、マリインスキーバレエ団のダンサーでもあります。
ジャパンアーツHP上の来日前のインタビューで、パキータについて次のように語っています(抜粋)。

今回のパキータの変更点について

このプロジェクトの狙いは、現在マリインスキーバレエにある『パキータ』のグラン・パを保存し継承することでした。初めて上演されてから現在に至るまで、このグラン・パはマリインスキーにとってダイヤモンドのような存在でしたから。私はこの“ダイヤモンド”を、その美しさを際立たせるような、その輝きにふさわしい、美しい“宝石箱”へ収めてあげることでした。

パキータはマリインスキーにとってダイヤモンドのような存在と語ります。このダイヤモンドの美しさを際立たせる美しい宝石箱に収めることが今回の変更の目的と語り、その宝石箱をどのように作ったかと尋ねられると…

セルゲーエフがその当時手がけた資料が残っていて、ステパノフ式で記録された作品全体の舞踊譜も版画や楽譜なども残っています。しかし私は、これまでパリ・オペラ座で復元したラコットやミュンヘンで復元したラトマンスキーと同じことを繰り返したくないと思っていました。ですから私は新しく編集した自分のバージョンの『パキータ』を作りました。出来上がったものは、私が思い描く「パキータ」であり、プティパに捧げるオマージュのようなものです。彼の振付スタイルと、サンクトペテルブルグの宮廷の舞台を彩り続けたクラシック・バレエに捧げる作品です

マリインスキーバレエ団の今回の来日公演のプログラムにも、スメカロフの言葉が載っています。


今回お見せするパキータは、19世紀後半から20世紀半ばにかけてペテルブルグで上演されたプティパ版の復刻ではありません。これは、3幕のグラン・パでのみプティパの振付を用いた新しい作品です。
このグラン・パの再演に当たっては、バレエ作品の復刻の専門家であるユーリー・ブルラーカを招き、より初演版に近い形で振付を行ないました。また、あらすじも原作とされているセルバンテスの「ジプシー娘」に立ち返り、より原作に忠実なものとなりました。
原作「ジプシー娘」の中では、ヒロインが一輪の花になぞらえられ、バレエ「パキータ」でも花は愛のシンボルとして物語の中核を担いますが、私にとって本作品はまさにクラシック・バレエの黄金時代への愛の告白なのです。


来日公演のマリインスキースペシャルガラではグラン・パのみが上演されましたが、スメカノフはダイヤモンドの様な存在と語るグラン・パを宝石箱に収めるために全幕パキータを振付け、2017年3月のマリインスキー国際バレエフェスティバルで初演されました。
振付したスメカノフが語っていますとおり、グラン・パはプティパの初演(1881年)*を復刻したものですが、全幕パキータは19世紀にジョゼフ・マジリエが制作したパキータのリバイバル上演ではなく「ジプシー娘」を元にした新制作です。

*パキータ自体は、1846年ジョゼフ・マジリエ振付、エドゥアル・デルデヴェス音楽により全3幕の作品として初演されました。グラン・パは、1881年にプティパがリバイバル上演する際に、ミンクスの音楽を用いて新たに振り付けられたもので、このとき第1幕にパ・ド・トロワも付け加えられました。

セルバンテスの「ジプシー娘」を原作にしたパキータでは、主人公パキータは赤ちゃんの時にジプシーに貴族の館から連れ去られ、お金稼ぎのために街の踊り子として育てられた娘、という設定です。

ところで、振付家が語る、新パキータで重要な意味を持つ
今回の舞台美術も、従来の貴族のお屋敷の大広間を想定したものから、野外の庭園或いは花園で踊っているような背景に変わっていました。
ダンサーもティアラではなく薔薇の花を頭飾りに付けていました。

初演に近い形での振付となっているグラン・パ。
先ほども触れましたが、プティパによりパキータにグラン・パが付け加えられたのは、1881年のリバイバル上演時で、その時に1幕にパ・ド・トロワも加えられました。
そのためなのでしょうか、今回はトロワはグラン・パの中では踊られませんでした。

ソリストのバリエーションは第3バリエーション(従来はドン・キホーテ第2幕夢の場のキューピッドの曲)が変更になっていましたが、それ以外は従来どおりでした。第3バリエーションの曲は聞き覚えがあるバレエ音楽でしたが、曲名がわかりません
エトワールのバリエーションは、昨年の発表会でまりあ先生が踊ったバリエーションに変わっていました。
コーダは音楽も構成もかなり変更になっていて、従来とは全く違う作品という感じです。
最後の場面はこんな感じです

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衣裳もすっかり変わりました。
こちらは第1&第2カドリーユの衣裳です

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パキータとアンドレ
(リシュアンからアンドレに主役男性の名前も変わっています。)

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マリインスキーバレエのサイトにパキータ全幕にわたっての写真がありますので、ご興味のある方はのぞいてみてください。

https://www.mariinsky.ru/en/playbill/playbill/2018/3/29/1_1930

2017年5月 ロシアのテレビ番組「ツァールスカヤ・ロージャ」より2017年3月30日初演のパキータ全幕を紹介する映像です。



新パキータはまだ映像などの資料が少ないのでご紹介仕切れませんが、どんな感じの作品か少しでもイメージして頂ければ幸いです
DVDの発売が待たれますね


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